顎骨切り矯正手術’

LeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)

ガミースマイルとは、歯茎が剥き出しになってしまった状態で、比較的多い症例です。

このガミースマイルに対しては、中程度までは、骨切りをしなくても改善ができます。

粘膜切除術という方法で、剥き出しになった歯茎部分の粘膜を切除してしまう形成外科的手術です。

この粘膜切除術は、縫合技術、特にドックイヤー等を考慮できる形成外科技術医でないと、悪い仕上がりになります。

ただし、粘膜切除術では改善されない場合があります。

それは、重度のガミースマイルです。

重度のガミースマイルは、骨切りをすることになります。

骨切りの中でも、LeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)と言われる手術方法です。

出っ歯(上顎前突症)は、セットバックと言われる手術により、上の左右第1小臼歯を抜いて、根元の骨も取り除きます。

その空いた空間を利用し、前歯6本を奥に引っ込めさせ、骨を固定するチタンプレートで結合し、下顎の歯に噛み合わせます。

このLeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)は、している病院が少ないですが、根本的改善ができるのでオススメです。

医師の中には、歯科ダブルライセンスで治療している名医もいますので、検討の余地はあるかと思われます。

LeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)のメリット&効果

LeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)をすることで、綺麗なEライン、横顔を実現することができます。

LeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)のデメリット

医師の多くが、このLeFort(ルフォー)Ⅰ型(上顎短縮骨切り)の経験を積んでいないので、病院によって仕上がりにバラつきが出る可能性があります。

また、その仕上がりのバラつき加減が、そのまま顔面麻痺の後遺症等に直結することにもなりかねないので、医師選びは慎重に行うべきです。

###

■下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術に向いている人

目立つエラ、広い顎先、四角いホームベース型の顔、男らしいゴツゴツした顔、一方に歪んでいる顎先、しゃくれ顎、引っ込んた顎先、長い顎、短い顎先、曲がった顎先、左右非対称の下顎、大きい顔、他院で効果なしで、さらに良い形の下顎に、等で悩んでいる人が希望する手術です。

■下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術の方法とは?

下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術は、麻酔科専門医による全身麻酔法で安全に行います。

下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術は、全て口中の切開で行うので、手術後顔に傷痕が残りません。

下顎骨は、エラ張り原因の角部から顎先にかけて、綺麗で曲線的なフェイスラインになるように切除します。

この際、下口唇の感覚神経(オトガイ神経)を傷つけずに切除ます。

また、顎先を小さくし、理想位置まで前後に移動させる必要があれば、E-ラインを意識した位置に移動させ、固定します。

■下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術をした後のケア

顔骨の手術において、手術後の円滑な回復のために、手術後のケアは大切です。

顔骨を切る手術は、手術後に骨切した箇所から血が滲み、腫れる可能性があり、手術後に顔の腫れを最小限にするため、包帯での圧迫固定が必要になります。

したがって、手術後1、2日間程度入院し、十分に前述のケアをし、安全で円滑な術後の回復に最大限尽くします。

下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術後の3日間は、軟らかい食事を摂ることになり、それ以降は、少しずつ段階的に通常の食事に戻していきます。

下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術後4日目以降は、顎や顔の腫れも次第に引いてくるので、日常生活もこの辺りから徐々に問題なく過ごせるようになってきます。

下顎のエラ(角部)・顎先(オトガイ部)の形成手術中、下口唇の感覚神経を傷つけないように配慮した関係で、手術後一時的に下口唇の感覚が麻痺しますが、徐々に改善してきます。

通常、この麻痺は、3~6ヵ月程で回復します。

手術後1ヵ月以降は、顎や顔の腫れが落ち着き、前方から見ても、横側から見ても、スッキリした新しいフェイスライン、小顔効果が出てきます。

###

【事例9】21歳 女性 外傷後下顎骨変形、顔面非対称、交叉咬合

21歳の女性は、16歳の時に、交通外傷で脳挫傷、右下顎骨関節突起骨折、下顎骨体部骨折を負いました。

救命センターで一命をとりとめましたが、下顎骨骨折の治療を十分にできず、下顎骨変形に伴う顔面の左右アンバランス及び重度の交叉咬合でかなり悩んでいました。

大学時代の就職活動期前に顔の形状治療を早期に希望していました。

■手術による治療

1日でも早く、顔面の左右アンバランスと交叉咬合を改善するために、手術先行(サージャリーファースト)法による外科矯正手術をすることにしましたが、過去の、2箇所の下顎骨骨折で生じた高度の交叉咬合があったので、歯科矯正を含めた治療全体の計画を、矯正医と共に十分に検討を重ね、手術シミュレーションを立てました。

交叉咬合の外科矯正治療に対し、手術先行(サージャリーファースト)法を採るのは困難とされているので、手術する春休みまでの3ヵ月間のみ術前矯正を最小限しました。

手術は、下顎の移動をシミュレーションし、左と右とで異なる骨切りラインで下顎骨矢状分割骨切り術をし、上顎と上手く噛み合う位置にまで移動させて、固定しました。

手術中に、顔の左右均等を得られたことを確認しました。

■手術後の経過

下顎骨矢状分割骨切り術後2週目以降に、顎や顔の腫れが落ち着いてくると、顔面の左右均等が得られ、また口を開けた際における口の歪みも改善しました。

下顎骨矢状分割骨切り術後3週目以降に、本格的な歯科矯正を開始し、1年2ヵ月の術後動的矯正期間を経て、治療を終えました。

術前矯正期間と合わせ、治療期間は1年半で終えました。

就職活動期の前に、顔の左右均等、フェイスラインを改善し、また交叉咬合も改善したので滑舌が良くなり、さらに自分に自信を持って、21歳の女性は大学生活、就職活動を全うしています。

■備考

外傷後の交叉咬合は、手術先行(サージャリーファースト)法による外科矯正治療が向いていない、あるいは困難とされていますが、下顎骨矢状分割骨切り術を受けるまでの3ヵ月間を利用し、可能な限りの歯科矯正をし、21歳の女性が希望される就職活動が始まる前の春休みに、下顎骨矢状分割骨切り術をしました。

術後矯正治療は、困難だったと思いますが、手術先行(サージャリーファースト)法の外科矯正治において、矯正経験豊富な矯正医により、歯並びも噛み合わせもかなり改善し、滑舌も良くなりました。

この21歳の女性を、もし従来法で治療していたら、術前矯正期間で1年はかかり、なかなか治療時間の取れぬ就職後に外科矯正手術を受けなくてはなりませんし、もしかしたら治療途中でのドロップアウトもなきにしもあらずでした。

###

【事例8】17歳 男性 両側唇顎口蓋裂成長後の受け口(下顎前突症)、反対咬合

17歳の男性は、生後3ヵ月で初回の唇裂形成術を受け、以後、口蓋裂閉鎖術、腸骨移植による顎裂閉鎖術等、数回の手術を受けた後、しばらくの間、来院していませんでした。

今回、高校卒業後の就職を控えているので、それまでの間に、受け口(下顎前突症)、反対咬合の治療を希望し、来院しました。

■手術による治療

1日でも早く受け口(下顎前突症)、唇裂様顔貌を改善するために、手術先行(サージャリーファースト)法による外科矯正手術をすることにしました。

術後の歯科矯正を含めた治療全体の計画を、矯正医と十分に検討後、手術シミュレーションを立てました。

17歳の男性は、学校の夏休みに手術をしたいということなので、手術シミュレーションには、その希望も盛り込みました。

生まれつきの変形が根底にある歯並び及び噛み合わせの大きなズレがあったので、手術前の3ヵ月間、歯科矯正をしました。

手術は、上顎をルフォーⅠ型上顎骨切りをして、7ミリ前方へ移動しました。

下顎は、下顎骨矢状分割骨切り術をし、新しい上顎と上手く噛み合う位置まで後方に移動させました。

今回の手術では、唇裂特有の押し潰されたような鼻の手術はしなかったので、顎先の位置をE-ラインに移動させるオトガイ形成術はしませんでした。

■手術後の経過

ルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術をしてから2週間以降に、顎や顔の腫れが落ち着いてきたら、受け口(下顎前突症)顔が改善されました。

ルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術をしてから3週間以降に、本格的な歯科矯正を開始しました。

ルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術後6ヵ月で、唇裂鼻形成術とその鼻に合わせたオトガイ形成術を追加し、唇裂特有の顔貌から解放され、17歳の男性は、自分の顔に自信を持って就職ができました。

1年6ヵ月の動的矯正期間を経て、治療を終えました。

■備考

通常は、手術先行(サージャリーファースト)法による外科矯正治療が向いていない、あるいは困難な症例でしたが、手術を受けるまでの3ヵ月間で可能なだけの歯科矯正をし、17歳の男性の希望する手術時期にルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術をしました。

ルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術をした後の矯正治療は、困難だったと思いますが、手術先行方法の外科矯正治療において矯正経験豊富な矯正医により、歯並びも噛み合わせもかなり改善しました。

この17歳の男性を、もし従来法で治療していたら、術前矯正期間に1~2年がかかり、なかなか治療時間の取れぬ就職後に外科矯正手術を受けなくてなりませんし、もしかしたら治療途中でのドロップアウトもなきにしもあらずでした

△上記文章はユーザーの投稿です