顎矯正手術 下顎骨切り術 上顎骨骨切り術 神経損傷 顎間固定

顎矯正手術は、原則として顎骨の成長が終わる16~18歳以降に行われます。

■顎矯正手術の種類

1.下顎骨切り術

・下顎枝矢状分割術(SSRO)

下顎枝内面の下顎切痕と下顎小舌の間で、内側皮質骨の水平骨切りから下顎枝前縁を経由し、第2大臼歯後方の下顎体部外側皮質骨の垂直骨切りをして、下顎枝を矢状面で分割する手術法です。

・下顎枝垂直骨切り術(IVRO)

下顎孔の後方で、下顎枝を下顎切痕から下縁方向に全層で垂直に骨切りする手術法です。

2.上顎骨骨切り術

・LeFort(ルフォー)I型骨切り術

上顎骨を上下左右前後あらゆる方向に移動することができるため、主に上顎後退症に適応されますが、上顎のあらゆる変形にも適応されます。

3.上顎前方歯槽骨骨切り術:ワスモンド(Wassmund)法

4.下顎前方歯槽骨骨切り術:ケーレ(Kole)法

5.骨延長法(一期的な骨移動が困難な症例)

1日1mmくらいのゆっくりとした速度で、顎骨を断続的に移動することによって、その後方部に顎骨が形成し、骨移植の回避を目的として行われます。

また、軟組織伸展を利用して、瘢痕組織を伸展させて、顎骨の移動を確実にするとともに、術後の後戻りを最小限度にとどめるが可能です。

以上のような方法で骨切りをして、移動させた骨片は、チタン製固定プレート、あるいは生体吸収性固定プレートで留めます。

■顎矯正手術の合併症

1.神経損傷の危険性

下顎骨の骨切り及び下顎枝の分割の際に、知覚神経の下歯槽神経が損傷され、同神経支配領域である下口唇、オトガイ皮膚、下顎歯肉、歯の知覚鈍麻あるいは麻痺が残ることがあります。

この麻痺は、時間経過とともに改善していきますが、稀に1年を経過しても、感覚の違和感が残る場合があります。

2.出血

顎骨切りでは顎動脈、顔面動脈、下歯槽動脈等の血管損傷による出血のリスクがあります。

骨切り断端部からの出血は避けられないため、顎矯正手術では低血圧麻酔をしてから行い、術前に自己血を貯血しておいて、術中出血への備えとします。

3.顎関節症状

下顎骨切り術において、顎関節の位置関係(上下の噛み合わせ)が多少変化する場合があります。

また、稀に関節痛、雑音、開口障害等の関節症状が出現する場合があります。

術後早期にプレート技法を行う等といったことで対処します。

■顎間固定・入院期間について

1.固定期間

顎間固定は原則として行なわず、顎間ゴムで咬合誘導をします。

2.栄養管理

顎矯正手術後1週間は、経鼻的胃管留置によって経管栄養をします。

全入院期間は、2~4週間程度です。

■顎矯正手術後の矯正治療について

安定した噛み合わせが得られるまで、術後矯正を約1年間します。

術後矯正終了後は、引き続き保定が行われ、定期的な外来通院での予後観察が、歯科矯正医、口腔外科医によってされます。

【予後】

顎矯正手術により、咬合及び顔貌の改善が得られます。

術後の生理的現象として、移動した骨周囲の筋肉や軟組織の影響で、顎骨を元の位置に戻そうとする力がはたらき、後戻りが生じます。

これを防ぎ、術後の咬合を安定化させるために、術後矯正治療が必要となります。

術後評価は、後戻り、神経鈍麻及び顎関節症状等を、各種レントゲン検査や機能検査、触覚検査等で評価し、異常があった場合は、適宜治療をします。

【日常生活での注意点】

術前術後の歯科矯正中は、歯列に金属製の装置が装着されているので、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。

そのため、ブラッシングをしっかりとすることが重要です。

また手術後、顎骨が癒合するまでには、2ヵ月程度の期間がかかるので、固い物や咬みにくい物は、摂取を控える必要があります。

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